「女性の大活躍推進福岡県会議」平成29年度年次大会 開催報告

 「女性の大活躍推進福岡県会議」 平成29年度年次大会
~女性大活躍推進の今、両立支援のその先へ~を5月30日に開催しました。

平成29年5月30日(火)、電気ビル共創館みらいホールにて「女性の大活躍推進福岡県会議」の平成29年度年次大会を開催。254名もの多くの皆さまにご参加いただきました。


1.代表挨拶

冒頭、松尾新吾共同代表より挨拶がありました。4年前全国に先駆けてスタートしたこの取り組みとその成果を報告するとともに、結びには、これらの活動を今後ますます発展させるべく、「国や自治体のみならず、さまざまな関係先と連携をとりながら、全体のレベルアップにつながる活動にしていきましょう。」と次なるステージへのステップアップを期待する力強いメッセージがありました。

松尾新吾共同代表

松尾新吾共同代表

 

2. ご来賓挨拶

続いて、ご来賓として、重松典子 福岡県人づくり・県民生活部 部長にご挨拶をいただきました。挨拶に先立ち、ご自身が二期生として参加された女性管理職ネットワーク「WE-Net福岡」が貴重な異業種間交流の場であり、継続していることの意義をご自身のご経験に基づいて紹介していただきました。

福岡県人づくり・県民生活課 重松典子 部長

福岡県人づくり・県民生活課 重松典子 部長

 

本題では、福岡県の「女性活躍推進法」の策定状況を具体的に説明。

さらに、福岡県の人口動態上の特徴を踏まえ、女性が活躍することが福岡県発展の鍵との認識のもと、女性活躍推進法の全面施行に合わせ福岡県では女性活躍推進室を設置し、部門横断的組織として庁内の活動をグリップしていきながら、さまざまな取り組みを実施しているとの紹介がありました。

結びとして、本活動が異業種間のネットワークやさまざまな研修の場の提供を通して男女共同参画推進に対し非常に大きな貢献になっており、さらに本活動が広がること、参加企業、団体の自主的取り組みがもっと広がることを期待したい、と温かいエールをおくってくださいました。



3. ご来賓記念講演

記念講演として、武川恵子 内閣府男女共同参画局長から「女性活躍の現状と課題」と題し、世界の中での日本の女性活躍の現状と課題をさまざまな客観データを基にした深い洞察と多面的アプローチでご紹介いただきました。

武川恵子 内閣府男女共同参画局長

武川恵子 内閣府男女共同参画局長

冒頭で、2016年の各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数を紹介し、その背景を国際比較しながら読み解き、日本における課題を客観データや意識調査といったデータで解説していただきました。

さらに、国際的には遅れている日本ではあるものの、時系列に分析すると、日本における男女共同参画社会に関する世論調査や、第1子出産後の就業継続率等で急激に好転している例も紹介していただきました。

最後に、女性活躍推進法における現状の課題と具体的対応策を紹介しながら、示唆に富む指摘で講演を結んでくださいました。



4. 女性の大活躍推進福岡県会議の活動と今後の取り組み

久留百合子 共同代表からは、これまでの活動実績と今後の取り組みについての報告がありました。

経済界が中心となって立ち上げられたことが今なお注目されている4年目の本活動は、3部会から昨年調査部会を加えた4部会体制へと課題解決的に組織改編しながら、自主宣言目標における新たな「女性大活躍推進目標」の設定、人事部会の中での、FDI(福岡ダイバーシティ&インクルージョン)の第1回会合開催と、これまでの活動に加え、次なるステップを歩んでいることを具体的に報告。

その上で2017年度の活動計画として5つの柱を掲げ、その中で特に注力していきたい課題を「中小企業にいかにして自主宣言してもらうか」「労働力不足問題を踏まえ男性の多い企業、業界への働きかけをどのようにしていくのか」として、しっかりと議論を深めていきたい、と5年目の活動の方向性を明示して締めくくりました。

 調査報告書はこちらからダウンロードできます▽
女性活躍行動計画報告書2017



5.パネルディスカッション「両立支援の、その先へ」

年次大会最後は「両立支援の、その先へ」をテーマにパネルディスカッションを行いました。

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションの模様

   <パネリスト>
         日本経済新聞社   編集委員    石塚由紀夫様
         イオン九州株式会社   執行役員人事教育部長   工藤洋子様
         株式会社今村組   代表取締役社長   今村勝之様
         株式会社グルーヴノーツ   代表取締役会長   佐々木久美子様

   <コーディネーター>
         福岡県男女共同参画センターあすばる   館長   松田美幸
         女性の大活躍推進福岡県会議   調査部会長

 
冒頭、松田美幸調査部会長から女性活躍推進法が施行され1年後の福岡県内の女性活躍推進実態と課題アンケートについての調査報告がありました。

福岡県男女共同参画センター あすばる 松田美幸館長

福岡県男女共同参画センター  「あすばる」松田美幸センター長

 ●女性活躍推進実態と課題調査要旨
2017年2月、県内562事業所に対し女性活躍推進実態と課題アンケート調査を実施(回収率21.9% 企業75、行政48)ならびに同月開催した育休復帰支援セミナーへの参加者女性32名にもアンケートを実施。翌3月に女性活躍推進実態と課題を分析する専門家会議にてアンケート結果を分析の上、下記6つの課題と3つの提言を提示。

【課題】
1.女性活躍推進のジレンマ
 1)女性活躍を進めたいけれど余裕が無い(主に中小企業)
 2)やっているつもりだけど、成果を実感できない(主に大企業/行政)
 3)女性活躍を進めれば進めるほど不公平感が募る

2.企業が直面している3つの「不足」
 1)ケア施作推進に必要なリソース(人材、余裕)の不足
 2)本質的なフェア施作推進に必要なノウハウの不足
 3)社員へのコミュニケーション不足

 【提言】
 ・働き甲斐推進には個別対応が重要
 ・子育てを聖域にしない経営
 ・多様なノウハウの共有

女性が真に活躍するためには両立支援の充実だけでなく、活躍支援の両輪が整うことが必要と、活躍支援整備を行っている先進事例について資生堂ショック含め地元各社の取組みをお伺いしました。

 ●各社事例(コメント要旨抜粋)

石塚氏:
これまでも何度も女性活躍の波があった。今回も単に女性保護と考えるとブームで終わる可能性有り。
資生堂ショックについて説明。店頭で化粧品販売している美容部員が育児による時短で早出6時間勤務をする方が増加、この事を経営課題とし、働き方を変えて頂こうと遅番・休日勤務を2014年4月以降に会社がワーキングマザー達に要請。
2015年11月のテレビ報道をきっかけに資生堂は女性に優しくない企業と世間で騒がれることとなった。不買運動にもつながり、後に資生堂ショックと言われた。

そもそも管理者側も固定概念にしばられていた。育休あけたら時短早番勤務だと。対象者1200名と直接上司が個別面接実施。遅番・休日勤務を本人が納得するまで話し合い、家庭事情を見極めて頻度を決定。この際に必ず一度は対応して欲しいと「ゼロ回答」は認めない姿勢で臨んだ。100名辞めてもやむを得ないと考えていたが、結果は30人弱の退職者はでたものの、ほぼ全員がシフトを見直すこととなる。シフト見直しが出来たには次の背景があった“夫婦間でそもそも話し合っていなかった”“実は働きたい女性もいた(育休後は時短早番と上司の決めつけがあった)”“外部サービスで工夫できた”

資生堂ショックの教訓は優遇にも限界があるので公平とは何かを考える事。子育て社員のキャリア形成(マミートラック-子どものいる女性社員向けの緩やかなキャリアコース。仕事を軽減。働きやすい半面、昇進・昇格、やりがいが得にくい。経験不足で成長緩やか、資生堂事例では、6時間の早番のみだと経験できない事がある。発注・売れ筋商品確認・遅番時間帯に来客する客層による商品知識習得等)を考える事。それから、管理職側にも問題があった。パターナリズムと言われるもので、女性は守るべき対象と弱者を守る意識が強すぎて、当事者の意思・希望とは無関係に過干渉して成長の機会を失っている。過度な配慮により①経験が不足し、成長が滞る。②期待されていないと感じ、やる気を失う。

日本経済新聞社 石塚由紀夫 編集委員 

日本経済新聞社 石塚由紀夫 編集委員

資生堂が改革を行ってどうなったかというと、2015年度は前年比売上高12.6%アップ、営業利益77.4%アップ、経常利益64.8%アップの状況。美容部員達によるカウンセリング化粧品販売が好調で業績に貢献している。
資生堂が描く組織設計図は第一ステージ(1980年代まで)子どもができたら退職、第二ステージ(1990年代~)育児と仕事の両立、第三ステージ(現在)男女ともにキャリアアップ、次のステージは50:50風土の醸成『働きやすく且つ働き甲斐のある会社へ』ケアからフェア施策を拡充の上、業績アップにつながってるのが資生堂の事例。

子育てを聖域にしない経営が必要。その為には男性も家事・育児をやってもらわないと成り立たない。男性管理職の8割が既婚であるのに対して、女性管理職の4割しか既婚者がいないとの調査結果がある。女性は職場で男性と競走を求められ、家に帰っても家事・育児と仕事がある。
女性活躍は人手不足の解消だけでなく、ダイバーシティ経営が新しい価値、新しい目標をつくるのだと新しい目線(女性)を経営に取り入れることが必要。

マミートラックを防ぐには入社直後からの経験の有無で育休後の働き方が変わると感じる。面白く、責任のある仕事をいかに早く女性に与えるかが重要。

取材をしていて有能な女性を使えていない日本は損失が多いと感じる。職場を柔軟にかえたら、優秀な人が雇用できる。10年後はもっと人材不足になっている事が予測できるので、やるんだったら今やらないといけないと感じる。



工藤氏:
合併を繰り返してきているのでダイバーシティに対応しないと会社が成り立たなかった。女性が長く勤務できる取組みを拡充。2016年に“えるぼし”“くるみん”取得。男性は高齢になるほど仕事中心の方が多いので、部下のライフ(地域・家庭)を邪魔しないでとメッセージを発信している。

イオン九州株式会社 工藤洋子                                                                執行役員人事              教育部長 

イオン九州株式会社  工藤洋子 執行役員人事教育部長

 ママたちに特化した取組を行ってきた中でママにも3種類あると感じた。
 ①    キャリアをつかんでいくママ関係が無しの女性。
 ②    マミートラックでキャリアを諦める女性。
 ③    心苦しい精神的苦痛があったけど、私、子どもがいてもキャリアアップしても良いよねと思う女性。
ここ2年ほどでキャリアアップしたいと考えるママたちが多くでてきた。ママ達への過度な配慮は止め、やってみたらと管理職にあげている。
管理職がキャリアアップの背中を押している状態ではあるものの、一部の管理職からはシフトが組み難い等の反応もある。
大きな組織になると長時間働けばいいわけじゃない、評価が難しい。1時間あたりの生産性で評価するのか等を取り入れるか検討している。

今後の取組みについて、女性がどんなに頑張ってもパパがいないと家庭は大変ということで、男性の育児休暇100%取得、パパ活を行う取組を行う。

 

佐々木氏:
IT企業を経営している。エンジニアの働き方は場所はどこでもOK。ルールを決めずに働きやすい環境をつくる事で仕事の継続率を保っている。
社内に学童を置いたきっかけは自分自身が会社と家庭を分ける事は無理だと感じたから。公私混同も良いところだが、世界から人材を確保する為に家族ごと面倒をみようと考えた。家族がいないと、そもそも仕事ができないと思っている。会社を一つのコミュニティと考えた。
人(採用)を増やさない経営で生産性あげて成果をあげるように考えている。

 株式会社グルーヴノーツ                 佐々木久美子代表取締役会長   

株式会社グルーヴノーツ   佐々木久美子代表取締役会長

 女性は管理職を押されても断る方が多いと聞くが、私なんかと思わず、男女関係なく昇進して組織を変革していって欲しい。



今村氏:
大牟田という地域は人材が確保できない。長く勤めて頂きたいと女性活躍への取組みを行ってきた。フルタイムで働けない方に向けて2014年に従業員一人ひとりの育児や家庭の事情にあわせた働きやすい時間帯での「限定正社員」という勤務形態を設定した。パートタイマーとは異なる処遇で子ども三人大学卒業に至るまで子育て手当を出しており、シングルマザーには喜ばれている。

株式会社今村組 今村勝之 代表取締役社長

株式会社今村組                             今村勝之 代表取締役社長

ある女性社員の事例ながら、9時45分~14時25分しか働けない女性がいて、当社で採用を断ったら働くことが出来ないとのことで採用する事となった。採用当初は周囲から不満の声もあがっていたものの、男性技術者が苦手なことを補完したり、リノベーションに意欲的に働いてくれた事で周囲は何も言わなくなった。
働く女性を尊敬しているので、今後も働きやすい環境整備を行う。

 

以上、多数のご参加、ありがとうございました。

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