年次大会記念講演「ワークスタイル変革で人材を活かす経営を」講演要旨

平成28年度の年次会テーマは、「ワークスタイル変革で人材を活かす経営を」。
働き方改革の先駆者である、サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久氏をお招きして講演頂きました。

写真1青野社長・プロフィール写真

「チームのことだけ、考えた。~ワークスタイル変革で人材を活かす経営を~」というタイトルでのご講演。
ユーモアを交えた講演に会場は笑いに包まれ、具体的な取組を交えて分かりやすく説明いただきました。

講演の要旨をご報告いたします。
(年次大会全体の開催報告はこちらからご覧になれます▷ http://www.we-project.jp/news/2773

写真2

 

働き方の多様化を進めることで、一人ひとりの異なるモチベーションを引き出すことができる

最近講演依頼が多く、社会の働き方改革に対する熱気の高まりを感じている。
cybozuもかつてはブラック企業で、2005年に社員の離職率が28%まで上がってしまった。
辞めた人を補うための採用や広告、人材育成は時間とお金がかかり、社員が辞めない仕組みを作るほうが効率的だということに気づいた。

まず、辞めたいという人に給与の引き上げや業務内容の転換などの提案を行ったが効果はなく、辞めていく人の話を聞くと、その理由は本当に色々で、モチベーションの持ち方は異なるということが分かった。社員が辞めない会社を作るため、一人ひとりを違うものとして扱い、「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」という方針のもと、社員の要望がある度に議論を重ね、人事制度を変えるのではなく、足すことで取組を進めた。

上司が社員の選んだ働き方に合わせて仕事を渡すようにしたら、女性社員が残るようになり、現在、女性社員比率は4割で、ソフトウェア企業の中では異例の高さ。離職率も3.7%まで下がり、リーマンショックや東日本大震災も乗り越えて、売り上げも伸びている。

9通りの選択型人事制度や、最大6年間の育児休暇、在宅勤務、副業(複業)の自由化など、多様化に向けた制度を作っているが、社員の働き方が多様過ぎて、給与の決定、評価の基準を説明するのが難しくなった。そのため、現時点では、社員同士を比べるのではなく、社外と比較する「市場性」を基準にして社員を評価している。

「制度」だけでなく、「ツール」と「風土」を改善することが大きな組織変革につながる。

制度だけではだめで、その制度を活かすためには「ツール」と「風土」が必要。
仕事に関する情報がチームで共有されていることが、働き方を多様化するための前提であり、チームでワークするため「ツール」をいれる。ツールはお金で解決できるので、比較的簡単だが、厄介なのは風土。重要なのは2つで、まず「公明正大」。嘘をつかない人間関係を作らないと、多様な働き方は崩壊してしまう。2つ目は「自立」。働き方が多様になって選択肢が増えると、自分で選んで責任をとる「自立」マインドがないといけない。

この「風土」を作っていくためには、小さな嘘でも徹底的に叩く、経営者が情報をきちんと公開する、疑問をオープンに議論できる場を作るなどして、cybozuが「公明正大」を重んじている姿勢を見せることが大事。また「自立」とセットで大事にしているのが「議論」。働き方を選択するために周りを説得させる、「議論」する力が必要。そのため、建設的に議論するトレーニングを、社員へ強制的に実施している。

加えて大事にしたいのが、プロセス。人事制度を突然発令すると、社員は反発する。制度づくりはできるだけ早い段階から全社員と共有しながら進めるのが大事。つくるまでに時間はかかるが、目的、理由、活用方法の理解が進んでいるので、後が楽。人事制度は与えられるものではないということをcybozu社員は肌で感じている。

社員に優しい制度を作ると、制度にぶら下がる社員も出てくる。全ての制度は「グループウェア世界一」という目的のために運用されており、目的に向かって運用されないのであれば、廃止するということ宣言している。それを理解してもらうようにコミュニケーションをとると、社員も緊張感をもって利用してくれている。また、社員の不安を取り除くために、率先垂範を大事にしており、自ら経験することで気付くことも多い。

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日本最大の問題である少子化を解決するためにも、働き方の変革は重要である。

昔は「仕事と育児は両方大事」と言っていたが、今は自分の育児体験から、育児は未来の労働力、消費者、ユーザーを作る市場創造であり、経済活動だということに気付いた。育児をやめた瞬間に人類は途絶え、育児は根源的に大事な仕事だということに気付かされた。そこから少子化問題が気になるようになった。

少子化の解決のためには、男性の長時間労働をやめさせて、家事育児をさせればいい。ただ、今の政治や企業のリーダーは、家庭を顧みずに働いてきた人たちなので、理解できない。そこで日本の古い働き方を次の世代に引きずらないために、今のリーダーは「イクボス」にならないといけない。自分も東証一部上場のトップとして発信していきたい。動きを加速するためにも、みなさんが変わる、変える覚悟を持って欲しい。

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