株式会社紅乙女酒造

吉村 拓ニさん
取締役社長

1969年1月鹿児島県生まれ福岡育ち/48歳

1991年に「近大マグロ」で有名な近畿大学農学部水産学科を卒業し、株式会社ふくやへUターン就職。その後17年間製造畑を進み、2007年に九州・アジア経営塾に4期生として入塾。翌年、卒塾と同時に経営サポート室へ。

2013年より株式会社紅乙女酒造へ出向、現在に至る。

企業データ

株式会社紅乙女酒造

社名/株式会社紅乙女酒造
住所/久留米市田主丸町益生田214番2  電話/ 0943-72-3939 (代表)
URL/http://www.beniotome.co.jp/
業種/焼酎・リキュールおよび甘酒・食品の製造及び販売
職員数/全体44名
(うち女性18名、男女比59%:41%)
女性管理職の人数/1名
管理職に占める女性の割合/10%
自主宣言日/2015年1月26日
宣言内容/5年後までに、女性の管理職比率を2割とすることを目指します。

掲載情報は、2017年1月末現在のものです。

経営とは、社員の人生を豊かにする場を提供すること

働く親をもつ子どもにとって最適な環境をつくりたい

 久留米市田主丸町の自然豊かな地で、焼酎・リキュールの製造・販売を手掛ける株式会社紅乙女酒造。2013年、同社は、明太子の製造・販売業の株式会社ふくやのグループ企業となった。ふくやの経営サポート室長から紅乙女酒造の社長に就任したのが、吉村拓ニさんである。
吉村社長は、最初にこう話してくれた。「魚屋さんや八百屋さんなど個人商店は、子どもが生まれたらおんぶして接客しても問題になりませんよね。それが企業になった途端どうしてできなくなるのか。働く親をもつ子どもにとって最適な環境を、会社としてどう作ってあげられるかというアプローチが必要だと僕は思います。普段から親の会社に行って、あいさつができなかったら、うるさいおじさんから説教されるとか、親の職場を身近に感じることで、お父さんやお母さんの会社に勤めたいと子どもが思うようになったら、とても幸せなことではないでしょうか。」
吉村社長は常々、気兼ねせずに職場に子どもを連れてきてもいいと社員に伝えており、時折オフィスに子どもを連れてくる社員もいるそうだ。

 

自身の子育て・介護経験から考えた柔軟な働き方の重要性

吉村社長自身、かつて仕事と親の介護の両立に苦労した経験がある。特に悩まされたのが徘徊だという。「一日に2回警察に連絡したこともありました。そんな状況だと、誰かを事故に巻き込んでいないかと仕事中も気が気じゃありません。」しかも、当時は子どもが生まれたばかりという状況。子育てと介護に右往左往した。幸い親類が経営するデイサービスを利用できたものの、一時は介護離職も頭をよぎったという。こうした経験から、短時間勤務や、週に数回の在宅勤務など、当人の希望を少しかなえるだけで、負担はかなり減るということを実感した。

そこで同社で導入したのが「短時間正社員制度」である。ただ、その中身については詳細を決めていないという。「フルタイムでの勤務が難しい状況になった時に、こういう雇用制度もあるよと会社として言えるように、大枠だけは設けたのです。あとは、社員の状況に応じてカスタマイズしたいと考えています。例えば、社員が週3日だけフルタイムで働いてあとは家庭のことをしたいということであれば、給料はこれくらいになりますがいいですかというふうに、お互いにすり合わせていけばいいのです。」
従業員がパートを含めて50人足らずという企業だからこそできる、一人ひとりに合わせた働き方。制度の理念を共有し、従業員みんなで働きやすい職場を築き上げていく。それが同社の姿勢である。
そして、吉村社長はこう続けた。「仕事は人生を豊かにするための一つの側面でしかありません。一人ひとりの人生をどう豊かなものにしていくか、その場を提供するのが経営だと思っています。企業が社会的な存在として認められ、そこで働く従業員の生活を充実させるためにも、しっかりと利益を出していかなければなりません。」

必要なのは、シンプルで公平な評価

「現在、女性の管理職はいません。 5年後までに、女性の管理職比率を2割とすることを目指します。」と、2015年に自主宣言した同社。女性管理職がいないことに、吉村社長はどのような問題を感じていたのだろうか。
「女性が消費の主役を担っていて、世の中のトレンドも女性が動かしていることが多いのに、男性中心の組織で男性だけで判断するのは、自然じゃないですよね。男性中心の会社になってしまったのは、評価を公平にしてこなかった結果だと思います。」

かつて同社には、大企業のような細分化された人事考課制度があり、その評価に非常にコストをかけていたと吉村社長は指摘する。複雑な制度の中で埋もれている人材もいるはずであり、社内を活性化させるためには、シンプルな評価が必要だと考えた。そこで、評価ポイントを2つに絞りこんだ。「アピールタイム」と「足跡」である。アピールタイムは、人事評価期間中に、社長の前で自分が取り組んできたことをプレゼンテーションするのだ。成功したことでも、失敗したことでも何でもいい。足跡とは、自分のアイディアで工程を改善したことだったり、自分が開拓したお客さんだったり……何かをやれば必ずその足跡が残っている。会社を見回した時にどれだけ足跡を残しているかということ、それが成果の全てなのである。
こうした改革の中で、2015年、同社の耳納蒸留所内にある観光施設の店長に、工場内スタッフから抜てきされた女性が就いた。一人目の女性管理職である。その一方で、これまで手薄だった社員研修を充実させ、長期的な視点でも人材育成に努めている。

 

女性創業者のフロンティア精神をDNAとして引き継ぐために

まもなく創業40年を迎える紅乙女酒造の歴史は、「焼酎は安い酒という従来のイメージを覆して、世界に通用する蒸留酒をつくりたい」という、女性創業者・林田春野さん(故人)の思いから始まった。試行錯誤の末にできたのが、世界的にも珍しいゴマを使った酒、社名にもなっている「胡麻祥酎 紅乙女」である。吉村社長は言う。
「紅乙女のDNAとは、フロンティア精神だと思っています。それが、胡麻祥酎が売れたことで、チャレンジが止まってしまったのです。会社というものは、変わり続けなければなりません。何かをしようとしたら、比例して当然失敗も増えます。しかし、失敗を怖がっていたら何も進みません。」

第二第三の「世の中にない酒」をつくるために、新たに取り組み始めたのが、ブランデーの試作である。試作品の評価が分かるのは、早くて5年後。そこからブランデーの製造に乗り出すかどうか判断するという長期間にわたるプロジェクトだ。「従業員一人ひとりに、会社の将来について考える権利がある」とも語ってくれた吉村社長。その長い道のりを社員とともに歩んでいき、紅乙女のDNAを引き継いでいくつもりだ。

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紅乙女酒造では、今年から「これ、アリですか」と世に問うような商品をリリースしていきます。その第一弾として、2017年1月に「耐雪梅花麗(ゆきにたえてばいかうるわし)」を発売しました。16年間も寝かせた麦焼酎に、2年連続全国梅酒品評会入選を果たした「十八番梅酒」の原酒をほんの少しだけブレンドしました。720mlで18,000円(税別)と、味も価格も他にあまり類を見ないお酒です。20本限定で、紅乙女酒造・耳納蒸留所でのみ販売しています。ぜひ耳納蒸留所へ足をお運びください。

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